飯野にある飯野山東徳寺(イイノサントウトクジ)は、延命地蔵を本尊とする真言宗豊山派の寺院で、「飯野の観音様」の名で知られています。宝暦(ホウレキ)10年(1760)の銘のある百段近い石段を上りつめると、眼下には水田が広がり、西方には印旛沼が眺望できます。 『古今佐倉真佐子(ココンサクラマサゴ)』には、「観音堂先年せう失。享保年中にこんりう有。五間四面、廻り惣板、縁らんかん付、くずや(草ぶきの屋根のこと)。観音馬頭也。八尺斗の白木のあらけづりの像にして、ずし入。その節開帳にて拝す。(中略)此堂より馬札(馬のお守りのこと)有る。正五九月(ショウゴクツキ)十七、十八両日参詣多し。城下より下目付終日行て詰居。家中より参詣をうし。うり物沢山にあり。茶や大分かかる。辻ばくち大分ある」と記されており。馬が農耕や運搬等に大きく貢献していた時代の信仰と当時の縁日のにぎわいの様子がうかがえます。 また、本堂前には藩の馬術師範であった都鳥重成(トドリシゲナリ)をはじめ、門人一同の名が刻まれた賽銭箱(サイセンバコ)が奉納されており、佐倉藩でも馬の守護神として藩士が篤く信仰していたことがわかります。創建不明。

        
写真↓の奥に見えている急な階段を上った所が境内です。
担当 菅 智恵子